●●ちゃぶ台から世界をひっくり返す●●

〜ちゃぶ台にのせるスナオな想いを結ぶ〜

わたしを生きる物語 第2章〜その2

震災があってから
しばらくは職場も非常事態


子どもたちはしばらく
体育館に避難しながらの生活


わたしたち調理員は
ガスはカセットコンロをつかっての調理
水は配給されたもの
ごはんはガス釜で炊けないので
非常食のものや麺類が多かった。

市の管理する施設なので
物資が届くのも早かった。


ある食材と環境で
その時担当の調理員が工夫してごはんを提供する。
前の食事は何を提供されたかが
メモされていてそれも踏まえて考える。


限りはあるけれど
あるものでその日のメニューを
工夫してより楽しんでもらえるか。を考えるのは
そのときの状況でそう言うのも失礼かもしれないが
楽しかったし、子どもたちともいつもより
身近かな距離で調理ができたり
共に過ごすじかんができたりと充実していた。


いつからか
なにで知ったのかも覚えていないのだけれど
津波の被害を改めて知り
なにか。じぶんにもできないか。と思い始めていた。


そんな中、少しずつ
時が経ち送られてくる物資が増えてくるなか
子どもたちや職員の中から
不満の声が聞こえはじめた。


あれこれ
飽きないようにメニューは
あるものの中だから
もちろん限りはあるのだけど
みんな精一杯工夫しているにも関わらず


これじゃあ、子ども達が可哀相。ーや
◯◯はもう飽きたーの声。


どうにかしてあげたいけど
できないもどかしさや
この状況で三食食事ができていることへの
感謝ができないことへの苛立ち

物資も届くのはいいが
例えばトマトが何十個はいったものが
何箱も送られてきて
けっきょく悪くしてしまうものもある…

という現状を前に
すぐ近くでろくに食べれずに苦しんでいる人もいるのに…
とそのギャップとじぶんがどうにもできない
やり切れなさを感じていた。


そして日に日に
沿岸部に住む方たちへなにかできないか。と
思いを募らせていた。


思いついたのは
おむすびを結んでもっていく。ことで
ガソリンが少なかったのもあるし
動き始めた沿岸部へのバスは
必要な人に乗ってもらいたいから。と
歩きか自転車でいけないだろうか。と考えはじめていた。

でも、浸水して道が通れない場所がある。や
勝手にボランティアにいくと逆に迷惑になる。など
少ない情報を片手に不安になり
そして友人や親からの反対を受けて動けずにいた。


こんなときでも
こんな大変なことが起きているときでも
じぶんはなにもできないのか。
惨めで情けなくて布団の中で泣いた。


でも、やっぱりいこう。
どうやっていくか分からないけれど、行こう。
そう決めて、行くなら必要なものを届けられたら。と
すでに現地に入っている人の情報を見て
短大時代の埼玉の友人に物資を
送ってもらうお願いをしたりしはじめた。

 


そうこうしているうちに
しばらく連絡を絶っていた
とみひでから電話がかかってきた。

彼からは震災の直後
大丈夫だったか。と安否確認の連絡がはいっていたが
電話がかかってくるのははじめてだった。

 

電話が苦手なわたしだが
おそる恐る電話をとった。


すると
彼も沿岸部になにかしに行きたいという。
そして、当時福祉施設で働いていた彼は
福祉車両として優先してガソリンをいれられるらしかった。


行こうー
その言葉に今度は嬉しくて布団の中で泣いた。

 

 

二日後
スーパーの駐車場で会う約束をして
ジャージに黒い長靴姿で現れたとみひで。
髭も伸びている。…。
(少し前、一瞬彼にときめいたりもしていたけれど
その格好に一緒にいるのが恥ずかしくなってしまったのは内緒である)

 

彼の車に乗って
作戦会議をするー


とみひでは
今日もすでに沿岸部で泥かきをしてきたりと
すでに動きはじめていたようだった。

わたしは
じぶんになにができるだろう?そうおもったときに
でてきたのがやっぱり*おむすび*であり
今も必要なのかは分からないけれどそれがしたいこと。
でも一緒にするとみひでにそれは強要したくない。
もし、したいのなら。と伝えた。

でも、とみひでは
なんの迷いもなく
おむすびもっていこう。と決めてくれた。


今になって思えば
このときから、とみひでは
わたしのすることをなんの疑いもなく信じ
すべて麻美の言う通り。とすべて受け入れ共にやってきてくれた。

 

 

スッと
手を差し伸べられた。


一瞬なんだろう?と思うも
その手を握った。


熱い握手を交わされ
泣きそうになった。

 

じぶんの踏み出したくて踏み出したくてたまらなかった一歩。
を共に踏み出してくれる人がいる。

人生の中でほんとうの意味で
じぶんの*ほんとうのほんとう*を踏み出すのに
こんないとも簡単に一ミリの疑いもなく後押ししてくれる人がいる。


嬉しくてうれしくてたまらなかった。

生まれてはじめての*仲間*ができたような感覚だった。

2011年3月21日ー震災から10日経った日のことだった。


 

おむすび隊決行は
5日後の3/26ー


*おむすび*で繋がっていた
友人に声をかけてその中の1人の友人宅で
前日夜から集まり、泊まり掛けでおむすびを結ぶこととなった。

 

職場で使わなくなっていた
おおきな2升炊きの釜を借りてきて炊くー


男女5人で早朝からおむすびを結ぶ
およそ100個のおむすびたち。

 

わたしの休みに合わせて
この日に決行を決めたものの
前日になって仕事になってしまい
止むを得ず、わたしはおむすびを結んでみんなに託すこととなった。

 

なんのあてもなく
現地のボランティアセンターに行き
あれこれ一転二転、いろんなドラマがありながら
まだまだ道も大変な道のりの中
無事に直接おむすびを届けられた。とのこと。
夜におむすびを結んだ友人宅で報告を受けた。

 


次はいつにしようか?
わたしの休みに合わせて毎週一回は
沿岸部へ足を運びたい。そんな想いにー

二回目は
とみひでと予定が合わずわたしの
予定を優先して3/31に。


そんななか
みんなと自然に集まり
共にごはんを食べたり過ごすじかんも増えて
また、とみひでに惹かれはじめているじぶんに気がついた。


この状況の中だし
すぐにどうこうなろうっていうのは
考えていなかったのだけど


二回目の炊き出しを終えての帰り道に
報告も聞きたいし
家でうどんでも食べていかない?という連絡がはいり
その誘いにのって
震災後まだ片付けもしていない荒れたとみひでの家に行ったのが
はじまりでふたりの関係がはじまった。

 

後々聞くことになるけれど
とみひでの特製、鶏うどんを食べた後
なんやかんや話しをしていたら
わたしが捨てられた子犬のような寂しそうな顔をして
ぎゅーっとして欲しそうだった。

らしく
抱きしめられたのを
はじまりにエイプリルフールから
実は嘘かもしれない?その関係がはじまったのである。笑

 

そのおよそ1週間後
そのときはそうとも分からなかった
プロポーズをされる。

その日
友人宅にいた彼はこれからプロポーズしてきます!と
言ってでてきた らしく
プロポーズしてきました!と報告したという話しを後日
聞き、あれはプロポーズだったんか!と気づいた。笑


と言っても
なんと言っていたかは覚えていないけれど
嬉しくてわたしもこんな幸せを受け取っていいんだ。と思えた出来事だった。

 

そうして、
実際にプロポーズだったということを知り
ふたりで作戦会議。

親への挨拶はいつにするだとか
結納をちゃんと貯めてからしたいだのなんのって。


アースデイに思い入れのあったわたし
翌年2012年の4月22日に入籍しよう。と決める。

 

と言っても実はおおきな不安が…。

彼と一度縁を切ろう。と決めたのは
前の彼とのこともあったけれど
それだけじゃあなく、彼がわたしを誘うのは
彼がネットワークビジネスをしているからじゃあないか。という確信だった。

20歳の頃に一度
わたしも環境によいものを広められるなら。という思いから
一度はやろうとしたことがあるものだったけれど
実際やろうとしたときに
これは、ゲームだから。勝てばいいんだよ。と言われたことが
じぶんの想いとのギャップがあまりにもありすぎて
そういった類のビジネスは一気に嫌いになってしまっていた。

 

大切だとおもっている人から誘われたり
よくしてくれると思ったらそのお誘いだった。ということがあって、
大人になって素敵な方々との出逢いで一度は開きかけた
心にまた人への不信感が募る出来事となっていた。


でも、何度もやってくる誘いや
まして大切な人がそれを大切にしている。というのは
一体わたしにとってどういうことなのか。
大きな問いであった。


でも、まだ直接に
本人から聞いたわけでもなくて
大切な話があるから今度聞いてほしい。と言われたまんまに
そのときをどきどきしながら待つことになる。

 

今となっては
なんの偏見や疑いもないけれど
当時のわたしには大問題で
そもそも付き合っていいのか。という問題にすらなる。

今となっては
大好きで愛用している調味料だけど
当時そのことを告げられて
この調味料いいやつだから使っていいよ。という
言葉にも大大、拒否。

 

とてもとても受け入れられなかった。
そうしてそれを聞かされても
共に歩んでゆくことは決めて
でも、大切な人のたいせつなものを受け入れられない
もどかしさと苦しさも大きく感じていた。

 


震災のある少し前…

とことん、ひとりの人と本気で向き合ってみたい。
ひとりでいることの楽さでなく大変なところに
向き合っていくことに挑戦してみたい。


そう願っていたわたしの
願いはとみひでとの関係がはじまることで叶えられていく。


これまで
こわかった
じぶんの想いにスナオになること
それを伝え合うこと、その先でどう共に生きていくのか。と
どれだけも向き合うこととなる。

 

 

物語〜パートナーシップ編〜へと一度つづく